2013年03月21日

フィンランド人と半自動小銃 WWⅡ

 久しぶりのサバゲ、勇んで荷を積みエンジンをかけたらバッテリー死亡してたラクです。どうもー。なんちゃってフィンランド兵の格好で写真を撮ってもらおうと思っていたのでかなりショックでした。バッテリーは、まあ無事交換しましたが。

 久しぶりと言えば、このブログの更新もそうですね。本当なら前述のサバゲ(というかフィールド整備)の写真をエサに書こうかなと思ったのですが、無いのでこの記事を書くことにします。あ、私事ですが自分また留年しました。



 さてさて、第二次世界大戦でのフィンランド軍と言えば「使えないモノも無理矢理使う、というか彼らに使えないモノはない」というイメージを持たれる方が多いでしょう。

 この記事ではフィンランド軍が捕獲・使用した半自動小銃についていくつか写真を取り上げ、またいろいろな情報源と記憶を元にうだうだ語ります。サバイバルゲーム、ヒストリカルゲームについても少し。

フィンランド人と半自動小銃 WWⅡ

 画像が大きいので注意。



 まずはソ連で自動小銃がどう発達したかについて軽く触れてみましょうか。

 第一次世界大戦の陰鬱な塹壕戦の結果、ドイツ軍は浸透戦術を生み出し、またこの戦術に適合した兵器としてMP18を開発して突撃歩兵に装備させました。しかし、ドイツ軍よりも早い時期に浸透戦術と新兵器の構想を生み出していた国があったのです。それは、ロシア帝国だったのです。

 日露戦争の数ある戦いの中でも特に凄惨だった旅順攻略戦は、いわば新時代の戦争の前触れでした。ロシアはこの戦争が来るべきドイツ・オーストリアとの戦いを予期していると考え、塹壕突破の為の戦術を研究し始めました。その答えは、後のドイツがはじき出した答えと同じ「浸透戦術」でした。

 この戦術には短時間で火力を集中できる機関銃が必要で、しかし当時の機関銃はどれもこれも鈍重なものばかりでした。こうしてフェデロフの自動小銃が完成します。三八式の弾を使った有名なM1916です。原型は1913年に完成していましたから、もしかしたらタンネンベルクの戦いで勝利するロシア軍の姿があったかもしれません。でも歴史にifはないのです。

 結局、ロシア革命でフェデロフ自動小銃は日陰者の存在となります。皮肉にも、ずっと後発のMP18が西部戦線で大活躍することになるのです。しかし、ロシア帝国がソビエト連邦に移り変わったあとも、低調になったとはいえ自動小銃の理念は忘れられませんでした。

フィンランド人と半自動小銃 WWⅡ

 フェデロフの後に続いたのは彼の弟子であるシモノフと、フェデロフと銃器械発を競う関係にあったトカレフでした。シモノフは1936年にAVS-36を、トカレフは1938年にSVT-38を設計します(のちに改良型のSVT-40が採用されます)。面白いのはこの2つの設計思想の違いです。フェデロフと同じく「突撃歩兵の制圧銃」を目指したシモノフは自身の設計にフルオート機能をつけましたが、トカレフは「スコープを覗いたまま次弾を撃てる自動小銃」を設計したためフルオート機能を除外したのです。そして、シモノフの自動小銃は「全自動では反動が大きくて当たらない」という理由でフルオート機能が除外され、トカレフはトカレフで「不足する機関銃の代用」のためにフルオート機能がついたAVT-40を設計するのですから、世の中はわからないものです。結局、1900年代にフェデロフが危惧したように「ソ連軍小火器の弾薬である7.62ミリ弾は自動小銃には向かない」とされて、ソ連軍では半自動小銃が使われるようになりました。フェデロフが三八式の6.5ミリ弾を使ったことにはきちんとした理由があったわけです。

 さて、このような経歴でソビエト軍に採用された半自動小銃でしたが、その実戦はお粗末なモノでした。AVS-36もSVT-40も使用弾薬がリム付であったためにしばしば作動不良を起こし、また耐久性が低かったりしたために半自動小銃としては失敗作となってしまいました。特にAVS-36の欠陥は酷く、改良型さえ作られていません。100万丁が製造されたとも言われる半自動小銃ですが、ソ連軍内での評価はボルトアクションライフルに劣る物とされて、第二次世界大戦後半には短機関銃が半自動小銃のポジションを奪ってしまいました。

フィンランド人と半自動小銃 WWⅡ

 しかし、ドイツ軍はこの半自動小銃を警戒しました。バルバロッサ作戦では圧倒的な優位を誇ったドイツ軍ですが、短い間隔で射撃してくるこれらの火器を脅威に思ったのです。このため、鹵獲した各種自動小銃を徹底的に調査・研究するほか、わざわざ自軍の部隊に支給して戦力としました。主力小銃であるKar98kなどの弾薬は使用などできませんから、当然ですがソ連製の弾薬を支給する必要があります。このような手間をかけるほど、ドイツ軍は半自動小銃の有用性に気付いていました。そして、その先に何があるかも理解していました。突撃銃です。



フィンランド人と半自動小銃 WWⅡ

 前書き、全然軽くないですな。で、フィンランド軍はどのように半自動小銃を使っていたのでしょうか?冬戦争中に3,000丁のSVT-38を鹵獲し、継続戦争では17,000丁のSVT-38とSVT-40をソ連軍から奪いました。つまり、20,000丁もの半自動小銃がフィンランド軍によって使われたことになります。残念なことに共食い整備のため最後には6,000丁余りに数を減らしてしまいました。フィンランド兵は特徴的なスタイルの半自動小銃を「家へのお土産」と好んでいたようですが、フィンランド軍自体は半自動小銃を厄介者としてみていたようです。AVS-36、AVT-40はかなり稀少で、狙撃仕様はとくに少ないとか。

 弾薬ポーチもソ連軍の物を使っていたようです。あれって、片方だけだとあまり弾倉が入らないような気もしますが……。背負ってるのは何でしょうね。予備銃身ケースみたいですが、軽機関銃用でしょうかね。

フィンランド人と半自動小銃 WWⅡ

 いちいち半自動小銃と呼ぶのもめんどくさいので、単純にSVTと呼びましょう。 SVTはフィンランド兵の間ではかなり普及した小火器で、継続戦争初期~中期には1個分隊に1丁くらいの感覚で配備されていたのではないでしょうか。もちろん、時間が経つにつれてその数を減らしていったわけですが。「コンバット!」でカービーがBARを「男の銃だ!」と賞賛したように、フィンランド兵はSVTの使用者をうらやんだのではないかと思うのですが、どうでしょうか。想像ですが、多分使用者は整備にかなり手を焼き、「どうして俺はこんな銃がいいと考えたんだ?」と友人に語ったことでしょう。

フィンランド人と半自動小銃 WWⅡ

フィンランド人と半自動小銃 WWⅡ

 たとえば映画ウィンター・ウォーにもSVTは登場しています。冬戦争なので、SVT-38でしょう。SVT-40は冬戦争での教訓を元に、寒冷地でも確実に作動するように設計された(けど結局うごかなかった)改良品なので、この映画でのSVT-38はほとんどボルトアクションライフルと変わらない使い方になっています。とはいえ弾数がモシン・ナガンより5発も増えていますから、人海戦術を駆使するソ連軍に対抗する上では有利だったでしょう。なにより、使えるモノは使わなくてはいけないのですから。

 でも継続戦争の映画には出ていないような……フロントラインはまだ見ていないので。いずれDVDを買って見ないと。

フィンランド人と半自動小銃 WWⅡ

 フィンランド軍にはゲリラ戦専門の部隊があったようで、シッシ戦大隊、国境警備隊、軽歩兵大隊とそれらしい部隊名があります。正確な情報がまだわかっていないので、ここでは単にロング・レンジ・パトロール、ということにしておきましょう。この部隊は通常の歩兵よりも自動火器を多く支給されていたそうで、この写真では半自動小銃が2丁もあります。よく見ると、左の兵士はソ連製でない弾薬ポーチをつけています。おそらく双眼鏡ケースではないでしょう。


 実際のところはやはり短機関銃たるスオミM1931 KP/-31が主役だったわけですが、見るからに近未来的なSVTシリーズは、フィンランド兵の心をぐっと掴んだのではないでしょうか?弾薬がフィンランド軍のモシン・ナガンと同じだという点も、戦場では見逃せない要素だったでしょう。




 さて、サバゲやヒストリカルゲームをフィンランド兵の格好で嗜む人にとって、半自動小銃はPPsh-41と共に、「一般の歩兵でも電動ガンを持てる!」銃になると思います。モシン・ナガンは高価な上に火力で劣り、スオミ短機関銃は高価なカスタムガンしかなく、デグチャレフやラティ=サロランタの軽機関銃はフルスクラッチしか手がありません。しかもPPsh-41は冬戦争に登場しないのです。
 「あーあ、また壊れちまったよ。この銃ときたら!」というような小芝居も美味しい銃です。しかもZETA-LABが電動SVT-40を開発中という情報まであります!

 で、ZETA-LABって夜逃げしたんでしたっけ?

 ……不死鳥のごとく復活することを期待しましょう。AGMとかみたいに。

 つーか、フィンランド軍って短機関銃をもの凄く重要視していたので、部隊を限定しなければ別にスオミKP/-31でもPPsh-41でもいいんです。個人的にはエアコキでも電動ガンに勝てると思っていますし。

 あれこれ言っても、最後に左右するのは好みと財布ですな。




 SVTは人気だったというだけあって、記念写真やプロパガンダのような写真が残されています。以下に何枚か写真を載せましたので、興味のある方はどうぞ。


 あ、最後にソースを明記しておきます。ウィキがソースだよ!!

参考1:JAEGER PLATOON:RIFLES PART 4:Semiautomatic and Automatic Rifles
http://www.jaegerplatoon.net/RIFLES4.htm

参考2:ウィキペディア:フェドロフM1916
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%89%E3%83%AD%E3%83%95M1916

参考3:ウィキペディア:シモノフM1936半自動小銃
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A2%E3%83%8E%E3%83%95M1936%E5%8D%8A%E8%87%AA%E5%8B%95%E5%B0%8F%E9%8A%83

参考4:ウィキペディア:トカレフM1940半自動小銃
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%95M1940%E5%8D%8A%E8%87%AA%E5%8B%95%E5%B0%8F%E9%8A%83

その他:画像検索サービス、記憶の引き出しなど。



フィンランド人と半自動小銃 WWⅡ

フィンランド人と半自動小銃 WWⅡ

フィンランド人と半自動小銃 WWⅡ

フィンランド人と半自動小銃 WWⅡ

あ、これはAVS-36か。

フィンランド人と半自動小銃 WWⅡ

これもシモノフかな。

「俺、すげえガン鹵獲したでぇ!ドヤァァ」



最後の写真はかなり大きいのでサムネをば。

フィンランド人と半自動小銃 WWⅡ





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